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技能実習制度廃止、新たな制度を創設?技能実習と特定技能制度はこれからどうなるでしょうか?

現行の技能実習制度においては、人材育成などの観点から転籍が原則できない制度や、監理団体による監理・支援が不十分であることが指摘されており、これらの問題が人権侵害や法違反を引き起こす背景となっていることから、政府側も技能実習制度の見直しを検討しています。
先日、第13回技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において、技能実習と特定技能両制度の見直しを行い、新たな制度の創設を発表しました。今回の記事では、来年実施可能となる新たな制度について詳しく説明します。

新たな制度について

新たな制度の内容

目的:現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、我が国社会の人手不足分野(注)における人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設する。

概要:新たな制度は、未熟練労働者として受け入れた外国人を、基本的に3年間の就労を通じた育成期間において計画的に特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指すものとする。

【出典】技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第13回)最終報告書(たたき台)

技能実習制度と新たな制度の比較

新たな制度は、実際には現行の技能実習制度を代替する制度であり、現行の技能実習制度についてどのような変化変更があるのかを以下の比較表にまとめました。

変化のポイント 新たな制度 現行技能実習制度
目的
技能実習制度を発展的に解消し、
人材確保と人材育成を目的とする。
開発途上地域等へ日本の技能や技術、
知識の移転を図り、当該の経済発展を
担う人材育成に貢献する
在留期間
基本的に3年の育成期間で、
特定技能1号の水準の人材に育成。
(特定技能1号への移行する場合、
試験不合格となった者には再受験
のための最長1年の在留継続を認める)
最大五年間
受入れ対象分野の在り方
12分野
受入れ対象分野は、特定技能制度
における「特定産業分野」の設定
分野に限定
87職種159作業
受入れ人数の設定の在り方
特定技能制度の考え方と同様、新制度
でも受入れ分野ごとに受入れ見込数を
設定
受入れの上限数無
転籍の在り方
転籍を認められていく
(条件あり:同一企業で1年超就労
+技能・日本語試験合格)
原則、転職できない
監理・支援・保護の在り方
監理・支援・保護体制等を厳格化 監理・支援・保護が不十分
日本語能力の向上方策
日本語支援、日本語能力向上
に取り組んでいく
日本語能力の向上を求められない
特定技能への移行
技能検定3級等又は
特定技能1号評価試験合格
+日本語能力A2相当以上
(日本語能力試験N4合格等)
技能検定3級等又は
特定技能1号評価試験合格

【参考】技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第13回)最終報告書(たたき台)

技能実習制度運用要領

新たな制度と特定技能の関係性

下記の出入国在留管理庁が公開した新制度・特定技能制度のイメージ図によると、技能実習制度は新たな制度へと見直しますが、特定技能制度は、人手不足分野において即戦力となる外国人を受け入れるという現行制度の目的を維持しつつ、制度の適正化を図るために引き続き存続させ、特定技能の予備人材として、基本的に3年の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成する予定です。

なお、現行の技能実習制度で受入れ可能な対象職種は、87職種159作業がありますが、新たな制度では受入れ可能となる対象分野を、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定し、つまり12分野にする予定です。これを受入れの上限数として運用し、受入れ分野ごとに受入れ見込数を設定する予定もありそうです。

また、現行の特定技能制度においては、特定技能1号から特定技能2号に移行する場合、日本語能力は特に必要とされていませんが、以下の図から見ると、今後、特定技能制度の見直しとして日本語N3の獲得が移行の必須条件となる可能性が高いです。

【出典】出入国在留管理庁 現行制度と新制度のイメージ図

監理団体への影響

今まで技能実習制度において重要な役割を担ってきた監理団体は、新たな制度においても、引き続き設けられますが、不適切な運営を行っていた一部の団体があったため、今後は、監理・保護・支援に関する要件を厳格化し、不適切な団体の適正化または排除するため、以下の対策が取られる可能性が高いです。

➀監理団体と受入れ機関を兼職する役職員の監理への関与の制限や外部者による監視を強化;
➁受入れ機関数等に応じた職員の配置、財政基盤や外国語による相談対応体制を確保;
➂送出機関からのキックバック、饗応の禁止を厳格化;
➃新たな許可要件に基づき、監理機関は厳格に審査され、機能が不十分な場合適正化又は排除していくものとする;
➄監理機関にとってインセンティブとなるため、優れた実績の公表、優れた監理機関への申請書類の簡素化や届出の頻度軽減などの優遇措置が採用される予定。

受け入れ機関への影響

受け入れ機関に与える影響として考えられるのは、新たな制度を創設する目的の一つである人材育成の観点から、下記となる可能性が高いです。

➀現行の特定技能制度における要件を参照し、分野の協議会への加入等、人材確保目的を踏まえた要件を設けることが必要となる。

➁インセンティブを設定し、優良事例の公表、優良な受入れ機関に対する各種申請書類の簡素化や届出の頻度軽減などといった優遇措置を講じる。

まとめ

以上が新たな制度に関する説明となります。正式な実施は来年になるかもしれませんので、今回の有識者会議による提言内容が今後変更される可能性もありますが、新たな制度は、人材確保と人材育成を主な目的とし、特定技能制度との連携を通じて、外国人労働者の雇用環境や就労状況を向上させることが期待されます。

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MUSUBEE編集部

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