特定技能外国人を採用する際に登録支援機関の利用は必要? 支援内容や料金相場、メリットなどを紹介!
- 特定技能
- 登録支援機関
特定技能外国人と雇用契約を結んだあと、支援計画の作成と支援の実行について登録支援機関に委託できます。ただ、特定技能における登録支援機関を利用する必要があるのか気になっている方も多いでしょう。今回は、登録支援機関の概要や支援内容をおさらいしつつ、料金相場や利用するメリットなどを解説していきます。
登録支援機関とは?
はじめに、登録支援機関の概要と義務を解説していきます。
登録支援機関の概要
登録支援機関とは、特定技能外国人への支援を受入れ機関の代わりに実施する機関です。登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託すれば、受入れ機関が満たすべき支援体制を満たしたことになります。
登録支援機関として認められる条件は下記の通りです。
・5年以内に出入国や労働法令違反がない
・外国人が理解できる言語で支援できる
登録された機関は登録支援機関登録簿に登録され、法務省のホームページで公表されます。
登録支援機関の義務
登録支援機関の義務は主に2つです。
・外国人への支援を適切に実施すること
・出入国管理庁に対して各種届出を行うこと
届出書の例は下記の通りです。
・支援計画書
・支援委託契約書
・特定技能雇用契約書及び雇用条件書の写し
・特定技能外国人の健康診断書
・技能試験に係る合格証明書
・日本語能力試験に係る合格証明書 など
それぞれの義務を怠ると、出入国在留管理庁から登録を取り消されることもあります。
参考:特定技能ガイドブック
登録支援機関が代行可能業務一覧
登録支援機関に義務づけられている支援について詳しく確認してみましょう。
事前ガイダンス
雇用契約締結後に、被雇用者の外国人に対して事前ガイダンスを行います。労働条件や活動内容、入国手続き、保証金徴収の有無などに関して対面あるいはテレビ電話で説明します。
出入国する際の送迎
上陸手続きをする港・飛行場から、受入れ機関や住居までの送迎を行います。また、出国時の港・飛行場までの送迎や、保安検査場までの同行も支援に含まれます。
生活オリエンテーション
入国後に遅滞なく、日本のルールやマナー、生活必需品の購入方法、公共機関の利用方法など、社会生活に不可欠な知識を伝えます。対面で伝えるだけでなく、DVDを視聴してもらうことも可能です。疑問点についての質問に応える必要もあります。
公的手続等への同行
必要に応じて社会保障や税金などに関する手続きについて同行します。書類作成の補助も含まれます。
日本語学習の機会の提供
日本語学習に関する教材、オンライン講座、日本語教室などの情報を提供します。登録支援機関が日本語教師と契約して、日本語学習の機会を用意する場面もあります。
相談・苦情への対応
職場や生活に関する相談・苦情に外国人が理解できる言語で対応し、内容に応じて適切な助言や指導を行います。相談や苦情の内容は記録し、公的機関に相談・通報した内容に関しては、支援実施状況に関する定期届出においても記載します。
日本人との交流促進
自治会の地域住民と交流させる場を設けたり、地域の祭り行事などを案内したりします。必要に応じて行事への参加方法も説明します。
転職支援(人員整理等の場合)
受入側の都合で雇用契約を解除する場合は転職をサポートします。具体的には、推薦状の作成や、求職活動に必要な有給休暇の付与、離職に必要な行政手続きの情報提供などです。
定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者が外国人やその上司と定期的に面談して、労働基準違反があれば通報します。面談の頻度は3か月に1回以上です。面談では必要に応じて、生活に関する事項や防災・防犯・緊急時の対応に関してもオリエンテーションします。
参考:特定技能ガイドブック
登録支援機関の料金相場
登録支援機関に特定技能外国人を支援してもらうときの費用は、1名あたり毎月2~3万円が目安として知られています。
5年雇用したとすれば、120万円~180万円ほどの費用が発生します。仮に20名を雇用するとすれば、2,400万円~3,600万円ほどの費用がかかる計算です。
また、支援業務ごとに料金を定めている場合もあります。たとえば、事前ガイダンス1回あたり3万円~6万円、空港までの送迎1回あたり5,000円~1万円のように設定されることがあります。
委託費用を節約したいのであれば、外国人への支援業務を内製化することも検討してみましょう。
登録支援機関を利用するメリット
登録支援機関を利用するメリットについて解説していきます。
人件費を抑えられる
支援業務を行う担当者を雇用する方法もありますが、2022年時点における東京の平均賃金は時給1,092円であり、雇用する場合は目安として250万円ほど費用がかかります。
その点、登録支援機関に支援業務を一任すれば、担当者を雇用しなくて済むので人件費も減らせます。
人事・採用担当者の業務工数を削減できる
人事・採用担当者は、特定技能外国人以外にも新卒社員や中途社員の採用を行います。外国人の支援に時間を取られて、通常の採用活動がおろそかになってしまえば、優秀な人材を獲得し損ねてしまいます。
その点、登録支援機関を活用すれば人事・採用担当者の業務工数を削減できます。人事・採用担当者もコア業務に集中しやすくなるでしょう。
在留に関する手続きをサポートしてもらえる
登録支援機関は、特定技能ビザ取得に関する書類の申請もサポートしてくれます。また、国内在住外国人が特定技能ビザに切り替えるために、試験情報の共有や申し込みのフォローまで対応してくれます。
特定技能外国人を雇用するとき、在留資格に関する手続きに不安がある場合、心強い味方となってくれるでしょう。
一気通貫の採用活動で外国人の早期退職を予防しやすい
登録支援機関を利用すれば、一気通貫の採用活動を行えます。たとえば、自社で運営している学校で外国人を教育して、入国後の定着支援まで行っている登録支援機関があります。
一気通貫のサービスであれば、人材をよく理解したうえで受け入れ先とマッチングできます。適材適所を実現しやすく、早期離職も予防しやすいでしょう。
外国人に母国語でフォローしてもらえる
自社に雇用した外国人の母国語を話せる社員を用意できない企業もあるでしょう。
その点、多言語対応の登録支援機関で母国語を話せるスタッフに対応してもらえば、外国人が本音で話してくれやすくなります。
外国人が悩みを抱え込んでしまって、生産性が低下してしまう事態も回避しやすいでしょう。
第三者的な立場で課題をヒアリングしてもらえる
登録支援機関は第三者的な立場です。そのため、定期面談で外国人が悩みを打ち明けやすくなり、会社への不満をため込んでしまう事態を回避しやすくなります。
ヒアリング結果を活かせば、外国人が働きやすい環境を適切に改善していけるでしょう。
まとめ
以上、特定技能外国人を支援する登録支援機関の概要や具体的な支援、利用するメリットなどを解説しました。
登録支援機関は、事前ガイダンスや出入国の送迎、相談・苦情の対応など、さまざまな業務を代行してくれる存在でした。
登録支援機関を利用すれば、人件費の削減や外国人の離職率低下などのメリットもあります。特定技能外国人を受け入れるときの支援に少しでも不安があれば、活用を検討してみてはいかがでしょうか。