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特定技能ビザで過去に追加が検討されていた原発の現場作業の業種について

皆さん、特定技能は日本の人材不足が著しい産業で外国人の受け入れが行われていますが、過去に追加を検討されていた産業・業種があることをご存じでしたか?

それはコンビニエンスストア・運送業(トラック運転手)・廃棄物処理業(原発)の3つです。

こちらの記事では、廃棄物処理業にて原発の現場作業員として特定技能外国人を受け入れる件に関して、現状や特定技能導入の今後に関して等を皆さんにご紹介いたします!

コンビニエンスストアと運送業(トラック運転手)としての特定技能外国人受け入れについては以下の記事をご確認ください。



特定技能に産業廃棄物処理業を追加する目的とは

本記事では産業廃棄物処理業の中でも原発の現場作業に焦点を当ててお話します。

特定技能の対象職種に原発の現場作業が追加されるその目的は他の特定技能受け入れ業種と同様に人材不足の解消です。

しかし、同時期に検討されていたコンビニやトラック運転手の業種追加よりも問題点が多く存在しています。

なぜ産業廃棄物処理業は対象外?

なぜ、原発の現場作業は特定技能の対象職種に追加されないのでしょうか。

原発の現場作業が特定技能の対象職種に追加されることにおける問題点には以下のようなものがあります。それぞれ解説していきます。

  1. 安全面の担保について
  2. 即戦力となる人材の少なさについて
  3. 制度の曖昧性について
  4. 言語の問題について


1.安全面の担保について

東日本大震災による福島第一原発事故のイメージがあり、原発現場作業は危険な仕事であるという印象をお持ちの方が多いかと思います。特定技能外国人の受け入れにおいても、外国人の方を安全面において就労させることができるのか、問題視されています。

原発の現場で勤務する作業員は放射線管理手帳を保有しますが、あくまでも日本国内の業界団体による制度で運営されているだけであり、日本国内の利用しか念頭にありません。そのため特定技能人材が帰国した後は利用できません。

また放射線安全管理に関する法規制も日本国内における雇用・労働を対象としたもので、帰国後に放射線による健康被害が外国人に生じても労災申請などは通る可能性が低いです。このように安全性が担保されにくいという問題が現状としてあります。

2.即戦力となる人材の少なさについて

日本が特定技能人材の受入れ対象国としているのは現在アジア各国のみです。原発産業は欧州では発達していますが、アジアではそれほど活用されているものではありません。そのため即戦力となる人材がそもそも少ないということが想定されます。

一定の技術や経験を持ち合わせる人材を受け入れる趣旨を持つ特定技能において、まったくの経験のない人材や、特定技能で来日可能な5年を過ぎた後に母国で経験をいかせないことは制度の方針に反します。

3.制度の曖昧性について

東京電力は2019年4月18日に特定技能人材を受け入れると発表しました。また、これに際し東京電力側は特定技能で受け入れが可能な「建設」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」「自動車整備」「ビルクリーニング」「外食業」の業種に該当する業務内容を特定技能外国人に任せるとしていました。

しかし、2018年3月に、外国人技能実習生が除染作業に従事させられていた事案が判明し、建設関連会社4社が法務省に処分されるという事案が発生したことを考慮し、厚生労働省が東京電力に対して通達を出し、特定技能外国人の受け入れに関して、東電が実施すべき事項、元請事業者が実施すべき事項、特定技能外国人を雇用する事業者が実施すべき事項について相当に厳しい要件を課しました。これを受けて東京電力は、「当面の間、発電所での特定技能外国人労働者の就労は行わないこととする」と発表しました。

このような事例もあり外国人が原発の現場作業を行うのには、現状の制度での受け入れでは非常に区分が曖昧であるという問題が存在しています。

4.言語の問題について

特定技能人材はある程度の日本語能力を有していますが、原発の現場作業は複雑な業務も多く日本語を確実に、正確に理解する能力がなければ多くの危険にさらされることとなります。そのためいくら一定の日本語理解力があるとはいえ安心して業務を任せることはできないのではないかとする考えがあります。

産業廃棄物処理業の現状

公益社団法人全国産業資源循環連合会の「産業廃棄物処理業景況動向調査」によると、経営上の問題点において11期連続で「従業員の不足」が1位となり、深刻な人手不足の状況が続いているということが判明しています。

また、環境省の「産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言」内でも業界の人手不足に触れられており、産業廃棄物処理業を主業としている事業者の平均従業者数は収集運搬のみで9人、中間処理で20人、最終処分で9人、中間処理・最終処分で29人と非常に少なくなっています。

このように、産業廃棄物の最終処分量は年々減少傾向にあるものの、慢性的な人手不足に悩まされているのが現状です。

(出典:産業廃棄物処理業景況動向調査結果について産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言

産業廃棄物処理業が追加されるメリット・デメリットは?

では、原発作業が特定技能の対象職種に追加されるメリットとデメリットをまとめてみましょう。

メリット 原発作業員人材不足の解消
デメリット 即戦力となる人材が少なく活用の目処がたたない
外国人が作業に関し正確な認識ができておらず問題が起こった場合、企業責任になり得る



まとめ

産業廃棄物処理業における原発現場作業員としての特定技能外国人受け例に関して説明しました。皆さん、疑問は解決できましたでしょうか?

産業廃棄物処理業は今現在日本の経済や生活を支える重要な役割を担っています。人手不足が続くことは深刻な問題と言えます。

今後各業界の改善が進み特定技能人材の導入が前向きに進められていくといいですね。






MUSUBEE編集部

特定技能の外国人採用を考える企業にとってお役立ち情報を提供します。

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