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日本のことを知らない特定技能外国人に日本の雇用を説明する ~賃金編➁~

初めから日本に住んでいる特定技能外国人の多くは、基本給や特定の手当など、給与の詳細や税金、社会保険料控除の仕組みについてある程度の理解があります。しかし、日本以外の国の給与体系について知識が限られている人も多いです。したがって、細かい説明を行わなくても、トラブルを避けるために、適切に説明することが重要です。前回の記事で【最低賃金】に関する説明を紹介いたしましたが、今回記事では給料の構成および割増賃金について説明します!

【関連記事】:日本のことを知らない特定技能外国人に日本の雇用を説明する ~賃金編➀~

給料の構成について説明する

基本給

基本給とは、年齢、学歴、勤続年数、経験、技能、資格、職種、業務内容などによって算定される、給料の根本的な部分です。

その会社に長く勤めていると仕事の経験値が上がり能力も高まるという考え方で、勤続年数によって基本給が年々増えていくというしくみにしている会社は多いですが、若くても勤続年数が短くても会社の業績に貢献している人には相応の給料を出すべきだと考える会社も増えています。

どうすれば給料が上がっていくのかについて伝えておくことは特定技能外国人本人の勤労意欲を維持するのに役立ちます。

役職手当

役職手当とは、部長、課長、係長など、役職についている人に支給される手当のことです。役職についている人は、ついていない社員よりも責任が重く、求められる能力も高いため、その働きの対価としてお金が支払われます。

役職手当の支給対象者と支給額は会社によって異なるため、どの立場の人がいくらもらえるのか、表にするなどして分かりやすく説明しましょう。また、採用時や人事面談などで特定技能外国人本人の次のステップとなりそうな役職がすでに共有されている場合は、その手当について確認することも大切です。

通勤手当

日本では通勤手当を出す会社が多いですが、通勤手当を出すことは会社の義務ではありませんので、支給しない会社もあります。一方、諸外国では、通勤手当が出ないことが多いです。会社の規定を伝えましょう。

●支給対象になる通勤手段の範囲と通勤経路

●支給限度額

●現金支給か、定期券などの現物支給か

また、通勤手当の支給申請時に必要な書類があるときは、なぜ必要なのか、いつまでに必要なのかを伝えましょう。

精勤手当

精勤手当は、一つの給与計算期間中に欠勤がなかった、または、非常に少なかった人に支給される手当です。その意味は、社員が予定通りに休まず真面目に勤務することが会社にとって有益なので、そうなるように、社員を支援する制度として、精勤手当があるのです。このことをしっかり伝えてください。

具体的に、何回遅刻したら1日休んだとみなすのかなど、精勤手当の支給の条件を明確に伝えましょう。なお、有給休暇は欠勤ではなく、有給休暇を取得したから精勤手当が支給されないということはありません。このことも敢えて説明しましょう。

家族手当

家族手当の目的は、家族を持つ社員の生活費を補助することにありますが、支給する会社もあれば支給しない会社もあります。支給する会社でも、支給する条件は会社によって違います。

●支給対象となる家族の収入

●同居しているかどうか

●家族の年齢

など支給条件を明確に伝えましょう。また、結婚したり、子どもが生まれたりして家族が増えたときにどういう手続きが必要なのか、具体的な例を挙げるなどして分かりやすく伝えましょう。

ありがちなのは、手当と控除の違いを理解していない外国人の場合、家族に関する給料のことばである「家族手当」と「扶養控除」とを混同している可能性がありますので注意しましょう。

割増賃金について説明する

割増賃金は、法定の労働時間を超えて働かせることを抑制するために設けられた制度です。労働者が①時間外労働、②休日労働、③深夜労働をしたときに、通常の労働時間の賃金額に上乗せされる賃金のことで、通常の労働時間の賃金額に一定の率をかけたものです 。

「残業代」と「割増賃金」は混同しやすいことばです。

「残業代」は、働いた時間が所定労働時間を超えたときに、その超えた時間分の労働の対価全部を指します。

「割増賃金」は、働いた時間が法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えてから、通常の労働時間の賃金額に上乗せされる賃金が発生する、その上乗せ部分のことです。

例えば、所定労働時間が7時間(9~17時、休憩1時間)の会社があるとすると、17~18時はまだ1日8時間以内の法定労働時間内なので、17~18時の1時間分の残業代には割増賃金は発生しません。

ただし、18時以降に働いた場合は、1日8時間を超える法定労働時間外の労働になるので、18時以降に働いた時間に対する賃金には割増賃金が上乗せされます。

なお、法定労働時間内の残業代については、割増賃金を出す会社もありますので、その場合はその会社のルールに沿った説明をしましょう。

今回はでは給料の構成および割増賃金を説明しましたが、次回の記事は賃金の支払い方法税金や社会保険料について説明するときの内容とポイントを紹介します!お楽しみにください!


水本 智

雇用契約書、就業規則などの整備を中心とした労務トラブル回避型の社会保険労務士。東京都社会保険労務士会所属。

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