【今こそ活用】技能実習生から特定技能「介護」への移行
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「コロナのせいで、国外からの人材確保が難しくて困っている」
「特定技能外国人を増やしたい」
このようなことを考えている採用担当者向けの記事です。
世界的なコロナ感染拡大の影響によって、海外在住の人材を雇用することが難しくなり、新たな外国人材を招く場合、日本在住の方に人材を探す必要性が増しています。
そこで本記事では、技能実習生から特定技能人材への移行について解説していきます。国内在住の外国人を雇用する一つの有効な施策ですので、ぜひご覧ください。
なお、今回は全産業の中でも、特に人材不足に悩んでいる介護業界に絞ってお話しをします。
目次
技能実習生から特定技能「介護」へ移行できるのは?
×技能実習1号→特定技能への移行不可
〇技能実習2号→特定技能への移行可
〇技能実習3号→特定技能への移行可
技能実習2号、3号を良好に修了すれば、特定技能への移行が可能となります。
特定技能制度と技能実習の関係
技能実習(1993年に創設)は、開発途上国の外国人を日本で最長5年間にかけて受け入れる制度です。OJTを通して当該外国人に技能を移転し、本国帰国後にその技能を活用して経済発展につなげてもらう目的で運用されています。
その一方で特定技能は、日本国内で人材確保が困難な状況にある産業上の分野において、即戦力となる外国人を受け入れする制度です。
両制度を比べると、技能実習制度よりも特定技能制度の方が求職者に求めるものは高く、技能実習生としてある程度スキルを習得した方が、特定技能に移行可能になっています。
同じ受け入れ企業の中で、技能実習が修了したあとに、特定技能に移行するといったこともできますし、もちろん他の企業で技能実習2号、3号を良好に修了した方でも雇用はできます。
技能実習から特定技能へ移行するための期間
3,4か月~6ヶ月程度
特定技能の受け入れには申請に3~4ヶ月がかかります。不測の事態に備えるためにも、半年ほどみて諸々準備をしていくのがよいかもしれません。
特定技能「介護」への移行で免除される試験
技能検定試験→免除
日本語能力試験→免除
通常、新たに介護分野での特定技能1号の在留資格を取得するには、国内外で実施される下記の試験に合格しなければなりません。
①介護技能評価試験(技術検定試験)
②介護日本語評価試験(日本語能力試験)
③国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上(日本語能力試験)
しかし、技能実習として介護業務に従事し、技能実習修了後も特定技能人材として介護分野に従事する場合、試験受験の必要はなく移行が可能になります。
参考までに、各試験の内容もまとめました。
①介護技能評価試験
学科試験の科目は、介護の基本や、こころとからだのしくみ、コミュニケーション技術、生活支援技術などです。実技試験は、写真を提示して正しい介護の手順を判別・判断させる内容です。
②介護日本語評価試験
試験科目は、介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書といったテーマに分かれています。難易度は、介護業務を遂行するうえで支障をきたさない水準に設定されています。
③―1国際交流基金日本語基礎テスト
国際交流基金日本語基礎テストは、生活場面のコミュニケーションに必要な日本語能力について、就業目的の外国人を対象に測定する試験です。ここでいう日本語能力は、ある程度日常会話ができる能力、生活に支障をきたさない程度の能力をさしています。
③―2日本語能力試験(N4以上)
日本語能力試験は、日本語を母語としない方を対象とした日本語能力の測定試験です。 N4は基本的な日本語を理解できるレベルです。基本的な漢字や、ゆっくりと話される会話であれば理解できます。
特定技能「介護」へ移行する条件とは?
技能実習生であれば必ず特定技能に移行できるわけではない点には注意が必要です。特定技能試験が免除されてしまうため、一定基準を満たす経験や知識がなければなりません。
具体的な移行条件は下記の通りです。
条件1.技能実習2号、あるいは3号を良好に修了する
×技能実習1号(1年)→移行不可
〇技能実習2号(2年)→移行可
〇技能実習3号(2年)→移行可
技能実習生の在留資格は、技能実習1号(1年)からスタートします。
その後、条件を満たして必要な手続きを進めることで、技能実習2号(更に2年)や技能実習3号(更に2年)に移行していきながら、在留期間を延長していきます。
技能実習から特定技能に移行するには、最低でも技能実習2号を良好に修了しなければなりません。技能実習2号は、1号で習得した技能を向上させる活動を行う段階です。
条件2.技能実習の職種と特定技能1号の分野に関連性がある (コロナで例外処置あり)
技能実習2号を良好に修了した技能実習生においても、特定技能への移行を考える場合は、技能実習2号移行対象職種が特定技能1号における分野と関連している必要があります。
ただし、新型コロナウイルスの影響で、失業した技能実習生をフォローする特例措置も実施されています。従来は業種が制限されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大下において解雇された場合は、技能実習を修了した外国人がほかの業種でも労働できるようになりました。
ただし、この場合の在留資格は「特定活動(就労可)」であり、特定技能とは異なる点に注意してください。
参考:
解雇等された外国人の方への就労継続支援のご案内(出入国在留管理庁)
技能実習生、修了後も異業種への転職可能に 政府(日本経済新聞)
特定技能「介護」において、技能実習からの移行した人材を採用するメリットとは?
特定技能「介護」に移行するメリットを2つ解説していきます。
メリット1.即戦力として活躍してくれる可能性が高い
前述のとおり、技能実習制度と特定技能制度はその目的、背景が大きく異なり、特定技能制度の方が求職者に求められるスキル等は高いといえます。
また、技能実習2号であれば3年間、3号であれば5年間、既に国内での労働を経験しており、日本での勤務環境に慣れていることが多いです。
このような背景から、即戦力として活躍してくれる可能性が高いと考えられます。
ちなみに、介護分野においては、特定技能人材の雇用は下記のようなメリットがあり、より即戦力として期待が持てるかもしれません。
・配属後、すぐに配置基準に算入可能
・開所後間もない施設でも、配置可能
いずれも技能実習制度では認められていません。
メリット2.国内にいながら、優秀な外国人材を確保できる可能性が高い
コロナウイルスの感染拡大に伴い、海外との人材交流が難しい環境にある中、国内での採用活動のみで優秀な外国人材を雇用できます。
技能実習生の中でも、コロナウイルスのせいで帰国の目途が立たず、日本で次の仕事を探している方は少なくありません。
(既に日本で働いている)技能実習生の雇用を検討することは、人材不足に悩む企業の課題を解消するものとして期待できます。
まとめ
以上、技能実習「介護」から特定技能「介護」に移行する条件やメリットなどを解説しました。
同じ技能実習でも1号・2号・3号があり、2号、3号から特定技能へ移行できます。
コロナ禍において国外との人事交流が難しい環境下にて、人材不足を解消する制度として有効活用できる企業は多いと考えられます。