「特定技能外国人の住居条件とは?」
- 特定技能
特定技能で外国人を採用する際は、以下の「特定技能基準省令」にも記載されている通り、採用する外国人に対して「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」に沿った適切な住居確保の支援をする必要があります。
“特定技能基準省令第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には, 次に掲げる事項を記載しなければならない。 …….当該外国人が締結する賃貸借契約に基づく当該外国人の債務についての保証人とな ることその他の当該外国人のための適切な住居の確保に係る支援をすること…. (出典:「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」)” |
今回は、特定技能で採用した外国人(=特定技能外国人)に提供する住居の基準について解説していきます。
住居確保の支援は義務的支援
在留資格「特定技能」では、外国人を採用した企業が採用した外国人の生活支援をすることが定められています。(登録支援機関業務)
生活上の支援の一つとして、採用した外国人の住居支援をすることが義務として決められています。
住居支援内容の詳細説明
具体的に支援する内容は、
①特定技能外国人に不動産業者や賃貸物件に関する情報を提供し、必要があれば、同行して住居探しの補助をする
②もし、賃貸契約の際に連帯保証人が必要な場合かつ、連帯保証人候補がいない場合はいずれかの支援が必要です。
・受け入れ企業や登録支援機関などが連帯保証人となる
・利用可能な家賃債務保証業者を確保すると同時に、受け入れ企業や登録支援機関が緊急連絡先として契約する
③受け入れ機関や登録支援機関が自ら賃借人となって賃貸貸借契約をする場合は、特定技能外国人と合意をした上で、住居として提供することも可能
④受け入れ機関・登録支援機関が所有する社宅等を、外国人合意の下、住居として提供することも可能
*ただし、技能実習2号から特定技能1号に変更する場合のような、特定技能外国人がすでに住居を確保しているケースでは、住居支援をする必要がありません。ただし、技能実習2号生の場合でも、住んでいる住居を退去し、新たに引っ越しが必要になった場合は住居確保支援が必要です。
もしも外国人が住居を引っ越しした場合にも注意点があります。引っ越しをした場合、新居住地の届け出を各自治体に対して90日以内に行う必要があります。もしも居住地の届け出を怠った場合、虚偽の申告をしたとして、在留資格取消になってしまいます。うっかり見落としてしまわないように、引越し後の届け出には注意しましょう。
特定技能外国人の住居に必要な広さとは
特定技能外国人が住む居室の広さは、一人あたり7.5㎡以上を満たす必要があります。
またルームシェアで複数人が同じ住居に住む場合は、居室全体の広さを居住人数で割った場合の一人当たりの面積が7.5㎡以上を満たす必要があります。
ここでいう居室とは、「居住、執務、作業、集会、娯楽」などのために利用する部屋を指しており、ロフトは含まれておりません。
技能実習2号から特定技能1号に在留資格を移行し、引き続き同じ部屋に住む場合は、寝室が一人あたり4.5㎡以上を満たしていれば、問題ありません。
敷金・礼金や保証料は誰が支払うか
敷金・礼金等に関しては、1号特定技能外国人が負担することになっています。ただし、受け入れ企業が全額負担することや一部を特定技能外国人が負担するように合意を取ることも可能です。また、本人の希望や近隣賃貸物件の敷金等の相場,報酬額等を踏まえ,適切な住居を確保するための支援をする必要があります。
そのため福利厚生や待遇などで特定技能外国人の住宅費を一部補助するのは問題ありません。
なお,家賃債務保証業者を利用した場合には,保証料は採用企業が負担する必要があります。
社宅を貸し出す場合の注意事項
前提として、同等の業務を行う日本人と同じ待遇を提供する必要があります。例えば、日本人労働者に対して社宅を提供している場合は、特定技能外国人にも同様に社宅を提供する必要があります。また、広さに関しても同等の広さを確保する必要があります。
また、1号特定技能外国人に社宅を貸し、住居費を回収する際に、利益がでるような金額で住居を貸し付けてはいけないことになっています。あくまで維持費や管理費などの必要経費を補填するための徴収として金額を設定しましょう。
1号特定技能外国人から住居費を徴収する際の内容については,借上物件の場合,自己所有物件の場合に応じて,次のとおり定められています。
■ 借上物件の場合
借上げに要する費用(管理費・共益費を含み,敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は含まない。)を入居する特定技能外国人の人数で除した額以内の額
■自己所有物件の場合
実際に建設・改築等に要した費用,物件の耐用年数,入居する特定技能外国人の人数等を勘案して算出した合理的な額
雇用解除・終了後の住居確保支援は任意的支援
1号特定技能外国人との契約が終了し、次の受け入れ先が決まるまでの間に住居の確保が必要になった場合、受け入れ企業は任意的に住居確保の支援をする必要があります。
決まりを守った上で、特定技能外国人が働きやすい環境を準備しましょう
在留資格「特定技能」で採用した外国人を雇用する際は、住宅環境のようなルールが細かく設定されております。そのため、曖昧な点に関しては調べるなり、聞くなりをして、正しく運用するように注意しましょう。
また、初めての採用で失敗しないように、行政書士の先生や登録支援機関に顧問として特定技能採用を支援してもらうこともおすすめします。
海外から日本に来ている外国人の方が働きやすいような住環境の整備をしていきましょう。