特定技能で外国人を「派遣形態」で雇う方法とは?
- 特定技能
特定技能外国人を雇用する際には、正社員と同じ雇用形態でなくてはならないのでしょうか。パートやアルバイト、もしくは派遣社員のように雇用することができるのかどうか、気になったことはありませんか。実は一部例外として、特定技能外国人を正社員としての形態ではなく、派遣形態で雇用することができます。どのような条件があるのかを詳しく見ていきましょう。
そもそも特定技能とは
そもそも特定技能とは何か、ご存じでしょうか。特定技能とは年々深刻化する日本の少子高齢化と、それに伴う働き手の減少です。働ける年代の人数が少なくなっていき、どの分野でも人手不足が深刻になりつつあります。
そんな現状を打破するために、特定技能制度が設けられました。日本に働き手がいないのであれば、外国から来てもらおうということです。もちろん誰でもが日本に仕事を求めてこられるわけではなく、国にもよりますが政府の機関や民間の送り出し機関を通して、外国から働き手に来てもらっています。
特定技能には1号と2号があります。1号は、日本語試験と技能試験に合格する事で取得できます。特定技能ビザを取ることさえできれば、日本での最高5年間の就労が可能になります。労働を目的とした資格だけあって、これまであった在留資格よりも取得が難しくありません。また、一部分野を除き受け入れ人数に上限がなく、同じ分野に限るものの転職が可能であることも大きな特徴です。
特定技能2号は限られた分野でしか取得ができませんが、その分専門性が非常に高く就労する限りは更新も無期限です。そのため仕事をしながらでも、要件さえ満たせれば永住権の取得も可能です。
特定技能の雇用形態
特定技能は雇用の安定性が重視されるため、雇用形態は原則としてフルタイムか正社員となります。短時間のパートやアルバイト、派遣社員などは認められていません。ただし何にでも例外はあり、要件を満たしているのであれば派遣形態での雇用が可能になります。
雇用形態は直接雇用
雇用形態としては直接雇用が原則とされており、基本的には派遣形態で雇用することはできません。なぜなら所定労働時間と同じ時間、仕事をすること定められているからです。つまりは週5日、時間にすると30時間以上の勤務が必要になるためです。
フルタイム雇用が原則
特定技能制度では、雇用形態はフルタイムのみが定められています。つまり短時間のアルバイトや派遣として雇うことはかないません。しかし、中には派遣形態で雇用できる例外もあるため、完全に不可能であるというわけでもないのです。既定の要件を満たすことで、フルタイムでの直接雇用以外にも、派遣形態での雇用をすることができます。
派遣での雇用が可能な条件とは
派遣形態での雇用が可能な例外になるには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。派遣形態ができる分野やその理由などを詳しく解説していきます。
条件は分野が農業か漁業であること
特定技能外国人を派遣として雇用することができるのは、農業分野か漁業分野のみとなっています。そのほかの分野は原則としで定められている通りに、フルタイムでの直接雇用となります。
農業と漁業でフルタイムではなく派遣形態での雇用が可能になるのは、この二つの分野に関しては季節によって人手が必要ないときと驚くほど忙しいときがあるからです。また同地区であっても作業ペースや、苗を植える時期などによって人手が必要な時期がずれることもあります。そのために、短期派遣を充実させなくてはならないでしょう。
派遣先事業になるためには
派遣は特定の分野のみの可能な雇用形態ですが、派遣を受けるにはただ単に農業や漁業の分野であるというだけではいけません。派遣という形態はあくまでも例外であり、派遣先事業となるには4つの条件をクリアする必要があります。
条件①法令の遵守
労働条件や社会保障・税金などに関する法令をきちんと守っていることが最低条件です。少しでも法令違反をしていれば、派遣先事業になることはできません。
条件②離職者を出していないこと
特定技能外国人がすることになっている業務と同じ内容の仕事をしている労働者が離職していないことが条件です。期間は過去1年以内となっています。
条件③外国人が行方不明になっていないこと
過去1年以内に外国人労働者が行方不明になっていないことが、条件の一つです。これは、該当する機関に責任がある場合においてのみ適用されます。
条件④罰則を受けていないこと
法令違反はもとより刑罰などの罰則を受けるなどして欠格事由に該当する場合は、派遣先事業として認められることはありません。
特定技能の派遣企業がある
農業と漁業のみ、直接雇用以外にも派遣形態での雇用が認められている特定技能制度ですが、どうやって派遣形態での外国人を雇用すればいいのでしょうか。実は特定技能外国人を登録している派遣企業があるので、そちらに登録することで雇用することができます。ただし、直接雇用でも派遣雇用でも、日本人と同じ待遇や給与水準が要求されるのは同じです。
派遣の場合支援は必要なのか
基本的に特定技能外国人を雇用する場合は、支援が必要です、そのためなれない場合は、登録支援機関を利用する企業も多くいます。しかし、派遣形態で雇用する場合はどうなのでしょうか。実は派遣形態で雇用する場合は、受け入れ機関は派遣先となる農業・漁業を行う会社ではなく派遣元の企業になります。そのために、支援義務を負うのも派遣元の企業であり、派遣を受ける企業が支援計画の義務を負うことはありません。
JAが雇用する外国人材の派遣もできる
もし地元のJAが特定技能制度を利用して外国人材を雇用した場合に、その派遣を受けることができます。ただし注意が必要なのは、雇用契約を交わしているのも命令系統もJAが担っているということです。筒状派遣会社から派遣を受ける場合には、派遣先の事業主が仕事に関する命令を外国人材に下すことが可能ですが、JAの場合はJAが作業の指揮命令を下し、それに従って外国人材は派遣された各農家で仕事に従事するといった具合になります。
派遣形態で受け入れるためにするべきこと
もしも派遣形態で人材を確保したい場合には、派遣事業者と労働者派遣契約を結ぶ必要があります。さらに完全に一人だけで農業や漁業をしている場合には雇用することはできず、過去5年以内に最低でも半年以上労働者を雇用したことがないといけません。もしくは派遣先責任者講習かそれに準ずる講習を受けたことがある人物を、派遣先責任者として選任していることが求められます。
特定技能協議会への登録は必要か
漁業・農業に関しては、漁業特定技能協議会または農業特定技能協議会という組織が存在しています。この組織には原則として、外国人材を受け入れてから4か月以内に登録をしなくてはならないという規定があります。
ただし、派遣形態での雇用の場合は、直接雇用契約を結ぶ派遣元が登録する必要があり、派遣を受ける農業・漁業従事者は登録の必要はありません。派遣の場合は、あくまでも直接の雇用契約を結ぶ相手は派遣事業者であることを覚えておきましょう。そのため、特定技能外国人に関する義務などが発生するのもまた、派遣も事業者になります。
まとめ
特定技能外国人を派遣形態で雇用するのは、特殊な事例です。基本的に原則としては直接雇用であり、フルタイムの勤務が要求されます。
しかし、農業や漁業といった特殊な事業の場合は、繁忙期のみ人手が必要となるため、このような派遣雇用という例外が作られました。
また、農業や漁業といった特殊な仕事の場合には、労働基準法で定められている休日や休憩時間、労働時間といったものが適用されません。
とはいえ、適度な休憩や休日などは必要になるので、無理な勤務はしないようにしてください。ルールを守って正しく特定技能外国人を雇用しましょう。