求職者の特定技能ビザ取得要件、技能測定試験・日本語能力試験とは?
- 特定技能
こちらの記事では、特定技能1号を取得するための要件である、「技能測定試験」と「日本語能力試験」について説明します。
特定技能1号を取得するための、その他要件に関する記事は以下のリンクからご確認ください。
特定技能1号を取得するために合格必須な「技能測定試験」と「日本語能力試験」とは?
特定技能1号のビザを取得するにあたり、外国人は以下の2つのスキルについて、一定の水準に達していることが求められます。
- 各業種において必要な知識や技術
- 日本語の能力
一つ目の「各業種において必要な知識や技術」とは、特別に育成や訓練を受けることなくすぐに業務に取り掛かることができるだけの知識と能力を有していることが基準となっています。
二つ目の「日本語の能力」に関しては、ある程度の日常会話が日本語ででき、生活に支障がない程度のレベルであることが求められます。さらに、それぞれの業種ごとで業務上必要な日本語能力のレベルを有していることが基準となっています。
これら2つのスキルを、外国人が保有しているかを測るため、特定技能ビザの取得水準として、以下2つが設けられています。
①特定技能1号技能測定試験(技能測定試験)に合格していること
②日本語能力に関する試験に合格していること
原則として、これらの2つの基準を満たしていなければ特定技能ビザを申請することができません。
まず初めに、①特定技能1号技能測定試験について説明していきます。
①特定技能1号技能測定試験
特定技能1号ビザで外国人が働ける業種は14業種あります。業種によって求められる技能が異なるため、特定技能1号技能測定試験(以下、「技能測定試験」という。)も、業種によって異なる試験が用意されています。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人の方は、技能測定試験が免除されます。技能実習2号を良好に修了した業種と、特定技能ビザを取得したい業種が一致する必要があります。
特定技能外国人を雇用する際は、外国人が合格した技能測定試験の業種が、自社の業種と一致しているか確認する必要があります。
自社の業種を確認する場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
ー各業種の試験運営機関ホームページ
技能測定試験は、業種ごとに試験内容、試験日が異なります。また同様に、試験の運営機関も業種ごとに異なります。
各業種の技能測定試験について詳しく知りたい方は、以下のリンクより技能測定試験運営機関のホームページをご確認ください。
- 外食業、飲食料品製造業【外国人食品産業技能評価機構】
- 農業【全国農業会議所】
- 漁業【大日本水産会】
- 建設【建設技能人材機構】
- 宿泊【宿泊業技能試験センター】
- 航空(航空機整備・空港グランドハンドリング)【日本航空技術協会】
- 自動車整備【日本自動車整備振興会連合会】
- 造船・舶用工業【日本海事協会】
- 介護【厚生労働省】
- ビルクリーニング【全国ビルメンテナンス協会】
- 製造業(素形材産業/産業機械製造業/電気・電子情報関連産業)【経済産業省】
技能測定試験は、国内、国外で行われる試験においてそれぞれ受験資格が定められています。国内試験の方が受験できる条件が少し厳しいため、一つ一つ確認していきましょう。
ー国内開催での受験資格と開催都市
■受験資格
下記の3つの条件を全て満たす方は、技能測定試験の受験資格があります。
- 在留資格を持っていること(※観光ビザ等で日本に短期滞在している場合も受験可)
- 試験日に満17歳以上であること
- 法務大臣が定めた国籍の方(現在、イラン・イスラム共和国以外の国)
また、下記4つのいれかに当てはまる方には、受験資格はありませんので注意してください。
- 技能実習生として実習中の方
- 技能実習中に失踪した外国人
- 難民申請中で「特定活動」ビザで滞在している方
- 退学又は除籍処分となった留学生の方
■開催都市
国内では東京、大阪、名古屋、広島、仙台などをはじめとし、国内の主要都市で年に複数回開催されています。業種によって試験日、申し込み期間が異なります。
また、受験のために在留資格を延長することはできませんので、期間に余裕を持って準備を進めることが重要です。
ー国外開催での受験資格と開催都市
■受験資格
・試験日に満17歳以上であること
(ただし、インドネシアの国籍を持つ方は満18歳以上であること)
国外で試験を受ける方に定められている受験資格は、年齢のみです。
■開催国
国外では、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ミャンマーなど東南アジア諸国で試験が開催されています。今後は開催国を増やしていく方針で、ベトナムでの開催も予定されています。
業種ごとに開催国が異なるため、最新情報は先程の各業種の技能測定試験運営機関のホームページをご確認ください。
次に、日本語能力が一定の水準を満たしているかを確認するための試験についてです。
②日本語能力に関する試験
日本語能力を確認する試験は、2種類あります。
日本語能力試験(JLPT)と国際交流基金日本語基礎テスト (JFT-Basic)です。
この2つの試験のどちらかに、合格等する必要があります。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人の方は、日本語能力に関する試験が免除されます。技能実習2号を良好に修了した業種と、特定技能ビザを取得したい業種は必ずしも一致する必要はありません。
また、「介護」分野のみ、介護用語についても理解する必要があるため、介護分野専用の試験として介護日本語評価試験が設けられています。介護分野で特定技能ビザを取得する場合、この介護日本語評価試験に追加で合格する必要があります。
日本語能力試験 (JLPT)
日本語能力試験 (JLPT)は、、公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催の、日本語を母語としない人を対象に日本語能力を認定する検定試験です。日本語の能力を測定する試験としては、国内で最も受験者数が多く、一番多く利用されている試験になります。
日本語能力試験はマークシート方式のテストです。
受験料は、5,500円(税込み価格)です。
日本語能力試験に関する詳細情報は、こちらのHPをご参照ください。
ー 試験レベル
試験の難易度はN1~N5という5つの段階に分かれており、N1が一番難しいレベルです。
特定技能ビザを取得するためには、N4以上のレベルに合格することが求められています。
(MUSUBEEでは、N2,N3のレベルの方に一番多くご登録いただいています。)
ご参考までに、日本語能力試験のそれぞれのレベルを表にしました。
N1 | 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる(新聞の論説、やや複雑な文章などを理解でき、自然なスピードのニュースの主旨も把握することが可能) |
N2 | 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる(新聞や雑誌の記事、自然に近いスピードのニュースの主旨も把握することが可能) |
N3 | 日常的な場面で使れる日本語をある程度理解することができる(日常的な話題について書かれた文章を理解することができ、自然に近いスピードの内容をほぼ理解することが可能) |
N4 | 基本的な日本語を理解することができる(日常生活の身近な話題の文章、ややゆっくりと話される会話であれば理解することが可能) |
N5 | 基本的な日本語をある程度理解することができる(ひらがなやカタカナ、基本的な漢字で書かれた文章、ゆっくり話される短い会話であれば聞き取ることが可能) |
こちらはN2の試験問題です。
日本国際教育支援協会公式HPより抜粋
https://www.jlpt.jp/samples/pdf/N2-mondai.pdf
想像以上に難しいと感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
N2に合格されている方ですと、日常的な場面で使われる日本語をほとんど理解されているため、実務面でも頼りになる存在になります。
ー 国内開催での受験資格と開催都市
■受験資格
年齢や国籍に制限はありません。日本国籍の人でも、日本語を母語としない人は受験できます。
■開催都市
47都道府県の全てで開催されています。各都道府県の大学が会場になる場合が多いです。
ー 国外開催での受験資格と開催都市
■受験資格
年齢や国籍に制限はありません。日本国籍の人でも、日本語を母語としない人は受験できます。
■開催国
世界62か国、147都市で年に2回実施されています。
日本語能力試験公式HPより抜粋
https://www.jlpt.jp/application/overseas_list.html
国際交流基金日本語基礎テスト (JFT-Basic)
国際交流基金日本語基礎テストは、日本での就労を目指す外国人向けの試験です。
国際交流基金日本語基礎テストはコンピューターでのテスト形式です。日本語能力試験よりも結果が早く、オンラインで受験でき開催頻度も多いため、今後益々需要が高まっていくかもしれません。
国際交流基金日本語基礎テストに関する詳細情報は、こちらの公式HPをご参照ください。
受験料は、約2200円です。
■受験資格
日本語が母語の人以外は誰でも受験できます。
■開催国
日本での就労を目指す外国人向けの試験のため、開催は国外のみです。
現在、モンゴル、ネパール、インドネシア、カンボジアなど主に東南アジア諸国で開催されています。
国際交流基金日本語基礎テスト公式HPより抜粋
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/schedule/information.html
特定技能ビザでは、A2レベルの合格が求められています。
A2では、就労のために必要な、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」レベルが目安です。
介護日本語評価試験
日本語能力を測定する試験は、全業種共通の試験ですが、介護業界で働くためにはさらに「介護日本語評価試験」に追加で合格している必要があります。
介護現場で働くためには、介護用語などを理解している必要があるためその他の日本語試験では補えない知識を測る試験になります。
受験料は、1000円程度です。
ー 国内開催での受験資格と開催都市
■受験資格
- 試験日において満17歳以上であること
- 在留資格を持っていること
- 法務大臣が告示で定める外国政府が発行したパスポートを持っていること
の3つが条件です。
■開催都市
国内では、東京と大阪の2か所で実施しています。
10月~12月にかけて複数回開催されています。
ー 国外開催での受験資格と開催国
■受験資格
国外開催の受験資格は、試験日において満17歳以上であることが条件です。
■開催国
現在、フィリピン、カンボジア、ネパール、インドネシア、モンゴル、ミャンマーの6か国で開催されています。
介護日本語評価試験に関する詳細情報は、こちらの厚生労働省のHPをご参照ください。
10言語に翻訳されたpdf形式の学習用テキストも公開されています。
テキストでは、介護分野での専門用語などを解説しています。
厚生労働省のHPより抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000606158.pdf
まとめ
いかがだったでしょうか?
特定技能ビザを申請するためには、
- 業種ごとの技能測定試験に合格している必要があること
- 日本語能力に関する試験に合格している必要があること
これらの2つの要件が必要とされます。
ただし、技能実習2号を良好に終了した外国人の方は、これらの試験が免除になります。
このポイントを踏まえ、特定技能ビザを申請することができる外国人の要件をご理解いただけたと思います。
何かご不明な点や気になる部分がある方は、お気軽にMUSUBEEまでご連絡ください!!