特定技能ビザで過去に追加が検討されていたコンビニの業種について
- 特定技能
皆さん、特定技能は日本の人材不足が著しい産業で外国人の受け入れが行われていますが、過去に追加を検討されていた産業・業種があることをご存じでしたか?
それはコンビニエンスストア業界・運送業界(トラック運転手)・廃棄物処理業界(原発)の3つです。
皆さんがこの中で特に人手不足を実感しやすいのはコンビニではないでしょうか?
よく外国人の方がレジに立っているのを見かけますよね。
一見、特定技能の制度によって日本の人手不足が外国人の方によって助けられているようにも見えますが、実は特定技能はまだコンビニの人手不足には役立っていないのです。
そこで本日は、コンビニ業界の現状や特定技能導入の今後に関して等を皆さんにご紹介いたします!
特定技能へのコンビニ追加の現状
2020年6月17日に、自民党の外国人労働者等特別委員会が特定技能の対象業種にコンビニを追加することを求めた提言をまとめ、提出されましたが追加は見送られました。しかし前向きな検討はなされています。
特定技能の追加はもちろんですが、コンビニのビジネスモデルの改善が急務かもしれませんね。
特定技能にコンビニを追加する目的
特定技能にコンビニを追加する目的を考えてみましょう。
自民党の外国人労働者等特別委員会が特定技能の対象業種にコンビニを追加することを求めた提言の中では、追加の目的として「コンビニでは既に留学生など多くの外国人が働いているため、業界はリーダー層の育成を目指したい」としています。
また、人手不足の解消も大きな目的であると言えると思います。
経済産業省によると、コンビニ業界は現在以下のような課題を抱えています。
- 1店舗当たりの売り上げの停滞
- オーナーの高齢化と人手不足の深刻化
- コンビニオーナーからみた課題
一つ一つ見ていきましょう。
1. 1店舗当たりの売り上げの停滞
現在、コンビニの店舗数は約5万5000件にのぼっています(2019年6月時点)。
店舗数が増大するとコンビニ業界全体の売り上げは増加するものの、1店舗当たりの売り上げは頭打ちとなっており店舗拡大による利益拡大というビジネスモデルが見直される時期にきています。
2. オーナーの高齢化と人手不足の深刻化
特に人手不足に関しては深刻で、有効求人倍率はほぼ増加の一途を辿っています。
また、賃金の割に労働が過酷というイメージも定着しており一層、人材確保が困難となっているのが現状です。
3. コンビニオーナーから課題
調査によると、コンビニのオーナーからみてもオーナー満足度の低下や人手不足が深刻化しているという現状に直面しているということが確認されました。
このようにコンビニの現状は深刻なものばかりです。人手不足も大きな課題であると充分に言えるでしょう。
なぜコンビニは対象外?
こんなにも人手不足が問題視されているコンビニ業界ですが、なぜ特定技能への追加が見送られてしまったのでしょうか?
これに関しては2つの問題点が挙げられます。
- コンビニが特定技能が要する必要コストに耐えられない
- コンビニが特定技能が要する事務工数に対応しきれない
1. コンビニが特定技能が要する必要コストに耐えられない
これにはコンビニのビジネスモデルが大きく関わっています。コンビニの多くは本部と店主のフランチャイズ(以後、FC)契約という形で存在しています。本部が提供する商品の販売ノウハウなどの対価として、FC店は売り上げから仕入れ原価を差し引いた粗利益に応じて加盟店料を本部に支払い、FC店は粗利益の残りから従業員の給与や光熱費などの諸経費を払います。
本部は店舗を増やし、営業時間を延ばして売り上げを伸ばすほどロイヤリティが増える仕組みになっているため、店舗拡大の縮小や24時間営業の廃止は避けたいと考えます。
しかし、FC側は店舗の立地問題や人手不足の進展により従業員の確保が難しくなっています。それを避けるために時給をあげたくても売り上げの増加がみられない中の時給値上げは経営悪化に繋がるためそれもできません。
24時間営業という規約が契約にある以上営業時間の短縮もできず、深夜の売り上げが少ない状況下でも営業を続ける必要があります。人員削減のためオーナー自身が店頭に立つも、赤字経営やオーナーの疲労に繋がっているのが現状です。
こうしたビジネスモデルではとても特定技能人材の採用に必要なコストを支払うことはできません。
2. コンビニが特定技能が要する事務工数に対応しきれない
特定技能人材を採用するには多くの事務工数がかかります。例えば、空港への送迎や居住地のお世話まで業務に直接関係のないようなことまで行う必要があります。人手不足に陥っているコンビニにはそこまで行える余裕があるはずもなく、外部の支援団体に依頼するにしろ費用が必要になります。
そのため、多くの事務工数がかかる特定技能人材を採用するのはコンビニにとって難しいことなのです。
コンビニが特定技能に追加される場合のメリット・デメリットは?
では、コンビニが特定技能の対象職種に追加されるメリットとデメリットをまとめてみましょう。
メリット | デメリット |
人材不足の解消 | 追加されても活用される可能性が低い |
人材不足解消によるFC店の疲弊解消 | |
外国人のリーダー層育成 | |
コンビニの海外進出の推進 |
コンビニ業界の今後の取り組みについて
特定技能ビザによる外国人受け入れの準備が思うように進んでいない今、コンビニ業界では人材不足の課題に対してどのような取り組みが行われているのでしょうか。
現在行われている店舗運営の省人化のための取り組みについて紹介していきます。
セルフレジの導入
最近は、購入者が自らレジ打ちをするセルフレジが見受けられるようになりました。このように、コンビニ店員の負担を軽減するための取り組みが増えてきています。
営業時間の短縮
24時間営業が当たり前とされてきたコンビニ業界ですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の理由も合間って、時短営業を開始する店舗が増え始めています。仮に新型コロナウイルス感染症の拡大が収まってきたとしても、以降も営業時間を短縮する可能性が高いです。
そのほかコンビニ各社とも、加盟店との対話機会を増やし、加盟店オーナーの意見を吸い上げることにより、新検品システム、人工知能(AI)におる発注補助の仕組みなどを導入し、店舗運営の省人化を進めているようです。
あとがき
皆さん、コンビニの特定技能追加に対する疑問は解決できましたか?
コンビニは日本人の生活になくてはならない存在です。人手不足に関する課題は今後も向き合う必要があるでしょう。
今後各業界の改善が進み特定技能人材の導入が前向きに進められていくといいですね。