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介護業界で外国人を雇う際の制度比較

介護業界では、人手不足の深刻化が進んでいます。

公益財団法人介護労働安定センターの報告によると、介護サービスに従事する従業員のうち6割以上の職員が従業員の不足感を感じているということが判明しました。(出典:公益財団法人介護労働安定センター 平成30年度「介護労働実態調査」の結果)

高齢化社会が進む日本社会で介護業界の人手不足は非常に大きな問題と言えます。そこで皆さんに目を向けていただきたいのが外国人人材の採用です。本記事に目を通してくださっている皆さんは、既に外国人労働者の採用を視野に入れている方々が多いかと思いますが、介護業界において外国人人材を雇用する場合、たくさんの制度があって迷いますよね。

そこで、本記事では介護業界で外国人人材を採用する際の制度を分かりやすく比較しそれぞれの制度の特徴をご紹介していきます。

ぜひ、最後まで目を通してみてくださいね。

介護業界で外国人を雇う際の4つの制度とは?

まず、皆さんは介護業界で外国人人材を雇う際の制度がいくつあるかご存じでしょうか。

結論から言うと、全部で以下の4つの制度があります。

  1. 在留資格 介護
  2. EPA(経済連携協定)
  3. 技能実習 介護
  4. 特定技能 介護

これから以上の4つの制度について様々な観点から比較を行っていきます。ぜひ、気になる点について目を通していってくださいね。

■在留資格「介護」とは?

これは外国人が日本で活動する際に取得する必要のある在留資格のうち、外国人が介護施設で介護職員として働くために必要な資格で、介護業界の人手不足を解消するため平成29年9月1日より就労ビザとして認定された比較的新しい在留資格です。
一般に、外国人が在留資格「介護」を取得し日本で採用されるまでの流れは以下のようになります。

  1. 在留資格「留学」で入国
  2. 介護福祉士養成施設(2年以上)に通う※1
  3. 介護福祉士国家試験を受験
  4. 介護福祉士資格取得※2
  5. 介護福祉士として業務従事

※1:介護福祉士養成施設へ通う以前に日本語学校へ通う場合もあります。
※2:在留資格「留学」から在留資格「介護」への変更手続きが必要となります。

■EPA(経済連携協定)とは?

EPAとは物品やサービスの貿易のみならず、人の移動、知的財産権の保護、投資、ビジネス環境の整備、競争政策など様々な協力や幅広い分野での連携を促進し、二国間又は多国間での親密な関係強化を目指す条約を指します。

日本ではEPA介護福祉士受入れ事業においてインドネシア・ベトナム・フィリピンと協定を結んでいます。一般に、外国人がEPAの制度を利用し、日本で採用されるまでの流れは以下のようになります。

<就労コース>※3

  1. 介護福祉士候補者として入国
  2. 介護施設等で就労・研修(3年以上)
  3. 介護福祉士国家試験
  4. 介護福祉士資格取得
  5. 介護福祉士として業務従事

※3:4年間にわたりEPA介護福祉士候補者として就労・研修に適切に従事したと認められる者については、「特定技能1号」への移行に当たり、技能試験及び日本語試験等を免除。

<就学コース>

  1. 介護福祉士候補者として入国
  2. 介護福祉士養成施設(2年以上)
  3. 介護福祉士国家試験
  4. 介護福祉士資格取得
  5. 介護福祉士として業務従事

■技能実習とは?

外国人技能実習制度は先進国である日本から途上国への技能移転を目的としています。制度自体は1993年からありますが、介護分野は2017年に加えられました。一般に、外国人が外国人技能実習制度を利用し、日本で採用されるまでの流れは以下のようになります。

  1. 介護施設等の実習実施者で実習(最大5年間、実習の各段階で技能評価試験を受検)
    介護技能実習評価試験 初級試験 受検(入国1年後)
    介護技能実習評価試験 専門級試験 受検(入国3年後)
    介護技能実習評価試験 上級試験 受検(入国5年後)※4
  2. 帰国※5

※4:入国後3年後に専門級試験の受検を終えた後、
   介護福祉士国家試験の受検や介護施設等での就労を行うパターンもあります。
※5:帰国せずに介護福祉士国家試験の受検や介護施設等での就労を行うパターンもあります。

■特定技能「介護」とは?

特定技能は2019年の4月に創設されました。これにより人材確保がとくに困難である特定分野についてフルタイムの正社員として外国人人材を受け入れることができるようになりました。
現在14の分野で特定技能の在留資格が認められており「介護」分野もそのうちの1つです。一般に、外国人が外国人技能実習制度を利用し、日本で採用されるまでの流れは以下のようになります。

  1. 技能水準・日本語能力水準を試験等で確認し入国
  2. 介護施設等で就労(通算5年間)※6
  3. 帰国

※6:介護施設等で3年以上就労した後、日本の介護福祉士国家試験を受検することができます。

以上が介護業界で外国人人材を雇う際の制度です!

目的・活動内容での比較

受け入れ制度ごとの目的・活動内容を比較します。

それぞれ、活動内容に違いがあるのでそれぞれのメリットやデメリットを考慮した上でどの制度を利用するか考える必要があります。

1. 在留資格「介護」

目的 専門的・技術的分野の外国人の受入れ
活動内容 介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動



2. EPA

目的 二国間の経済連携の強化
活動内容 日本の介護施設で就労や研修などの活動また、日本の介護福祉士資格の取得を目指すための活動



3. 技能実習

目的 本国への技能移転
活動内容 技能実習計画に基づき、講習の受講や技能の習得に係る業務に従事する活動



4. 特定技能「介護」

目的 人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受入れ
活動内容 介護の知識、経験、技能を要する業務に従事する活動



介護業界の中のサービス種別や業務範囲での比較

次は各制度を利用する際に外国人が就労可能となるサービス種別や業務範囲について比較をします。

1. 在留資格「介護」

介護福祉士が行う業務について、制限なく従事することができます。
具体的には、身体介助、生活援助、などです。

2. EPA

<国家資格取得前>
介護保険3施設・認知症グループホーム・特定施設・通所介護・通所リハ・認知症デイ・ショートステイのみ

<国家資格取得後>
訪問系サービスも可能

3. 技能実習

訪問系サービス以外

4. 特定技能「介護」

訪問系サービス以外


就労期間での比較

次は各制度を利用した際の日本で働くことのできる期間で比較します。

1. 在留資格「介護」

在留期間更新に回数制限がありません。そのため、介護の現場で働いている限りは制限なく日本で就労することが可能です。

2. EPA

最長4年間の在留が認められておりこの間に3年以上の就労または2年以上の就学を行い、介護福祉士国家試験を受検します。

3. 技能実習

以下の工程を合計し、最長5年間の就労が可能です。

技能実習1号:最長1年
技能実習2号:最長2年
技能実習3号:最長2年

4. 特定技能「介護」

特定技能1号の在留期間は最長5年間です。更新期間は1年・6ヶ月・4ヶ月ごとになります。

語学力での比較

次は各制度を利用する際に必要となる語学力についての比較です。

1. 在留資格「介護」

在留資格「介護」を取得する場合、最初は「介護」ではなく「留学」の在留資格からのスタートとなるため、ここで指す語学力とは在留資格「留学」を取得するのに必要なレベルのことを指します。

在留資格「留学」の取得には日本語能力試験N5相当以上の日本語能力を有することが必要条件です。

■N5相当とは…

  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJTビジネス日本語能力テスト・JLRT聴読解テスト(筆記テスト)において300点以上取得していること。
  • 日本語検定協会・J.TEST事務局が実施するJ.TEST実用日本語検定のF級以上の認定を受け又はFGレベル試験において250点以上取得していること。
  • 専門教育出版が実施する日本語NAT-TESTの5級(旧4級)以上の認定を受けていること。

等々様々な目安がありますのでもっと知りたい方は以下のURLをからご覧くださいね!
日本語教育機関への入学をお考えのみなさまへ

2. EPA

EPAは、EPAの締結国ごとに日本語の教育内容や水準が異なります。

<インドネシア・フィリピン>
インドネシア・フィリピンでは、EPAとして日本に入国する前後で研修が用意されており、それを受講する必要があります。

■訪日前日本語研修

外務省により決定された日本語研修機関が6か月間の訪日前日本語研修を受講します。

ここで日本語能力がN5相当に値すると判断された場合は入国が許可されます。

ただし、日本語能力試験N4またはN3取得者(マッチング実施年度の前々年度の4月1日以降に取得したものに限る。)は研修免除の対象となります。

■訪日後日本語研修

外務省または経済産業省により決定された日本語研修機関が6か月間の訪日後日本語研修を受講します。
ただし、下記のいずれかに該当する場合は研修免除の対象となります。

・日本語能力試験N2(2009年度までに実施された日本語能力試験においては2級)以上の取得者

・法務大臣が告示をもって定める日本語教育機関において12か月間以上の日本語教育を受けた者


<ベトナム>
ベトナムでは、EPAを利用して日本に入国する前後で研修が用意されており、それを受講する必要があります。

■訪日前日本語研修

マッチング前に送り出し国において日本語研修機関が定める12か月の訪日前日本語研修を受講します。

訪日前日本語研修によって日本語能力がN3以上と判断された場合、入国が許可されます。

ただし、日本語能力試験N2(2009年度までに実施された日本語能力試験においては2級)以上取得者は研修免除の対象となります。

■訪日後日本語研修

日本語研修機関・JICWELSが実施する2.5か月間の訪日後日本語等研修を受講します。

3. 技能実習

技能実習生として日本に入国する場合、日本語能力に関して下記の要件が求められます。

  • 技能実習1号の場合、日本語能力がN4程度(基本的な日本語を理解することができる)であること。
  • 技能実習2号の場合、日本語能力がN3程度(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる)であること。

4. 特定技能「介護」

特定技能「介護」として日本に入国する場合、日本語能力に関して下記の要件が求められます。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上
  • 介護日本語評価試験に合格

ある程度日常会話ができ生活に支障がない程度の日本語能力、加えて介護の現場で働くうえで必要な日本語能力を習得していることが求められます。

技能水準での比較

次に各制度を利用する際に、はじめに必要な技能水準、すなわち介護現場にて必要な知識、スキル、経験、などについて比較します。

1. 在留資格「介護」

在留資格「介護」の場合、最初は在留資格「留学」としての入国となるため、介護に関する知識等の必要要件はありません。入国後は介護福祉士養成施設での2年以上の学習を通して知識を身につけます。

2. EPA

<インドネシア>

インドネシアの高等卒業+介護士認定又は看護学校卒業

<フィリピン>

フィリピンの大学卒業+介護士認定又は看護学校卒業

<ベトナム>

ベトナムの3年制又は4年制の看護課程修了

3. 技能実習

技能実習として入国する間に、事前学習として送り出し機関で知識や技術を事前学習している場合もありますが、原則として入国時に必要な技能水準の要件はありません。

技能実習生として来日後、日本の介護施設等での最大5年間の実習経験を通し知識を身につけます。

4. 特定技能「介護」

一定水準の介護に関する知識を習得していることを、介護特定技能試験において測定します。

また、技能実習2号を修了している場合や、EPAとして4年間の経験を持っている場合は、介護特定技能試験の受験は免除となります。

受け入れ費用での比較

次は各制度を利用する際に発生する受け入れ費用についての比較です。

費用は、受け入れに当たり利用する機関などによっても変化するため、あくまでも相場価格のご紹介となります、ご了承くださいませ。

1. 在留資格「介護」

在留資格「介護」を取得した方の働き方は、ほぼ日本人と同じとなります。そのため、日本人を採用する通常の場合と費用は同等といえるでしょう。

※在留資格「介護」を既に取得された方を採用する場合の費用とし、在留資格「介護」を取得するまでの留学費用や国家試験の受験費用などは費用に含めません。

2. EPA

4年間のトータルコスト=約207万円

申し込み手数料初回 3万/1名

あっせん料   14万/1名

滞在管理費   2万/年

日本語研修   36万/6ヶ月

フィリピン送り出し機関   60,500円/1名

インドネシア送り出し機関  38,000円/1名

ベトナム送り出し機関    51,000円/1名

研修講師のコスト     140万程度/6ヶ月

3. 技能実習

5年間のトータル=372万円

入国前教育費 32万/1名(介護の場合)

入国手続き等 40万/1名

監理費    5万円/月

4. 特定技能「介護」

ビザ申請支援料 15万/1名

登録支援料   3万円/月

5年間のトータル=195万円

定期報告・記録等での比較

次は各制度を利用した場合に発生する、日本政府への定期報告の義務や書類内容についての比較です。

1. 在留資格「介護」

在留資格「介護」を取得した方の働き方は、ほぼ日本人と同じとなります。そのため、日本政府に定期報告をする必要はありません。

2. EPA

就労コースと就学コースにより必要な報告書が異なります。また、定期報告と随時報告の2種類があります。ここではより重要な定期報告の書類をご紹介します。

<就労コース>

【様式1-2】受入れ施設の要件遵守状況の報告(介護施設)

【様式2-2】研修の実施状況の報告(介護施設)

【様式2-2別紙1】研修評価表(研修責任者記載)

【様式2-2別紙2】研修評価表(候補者記載)

【様式3】雇用契約の要件(同等報酬要件)遵守状況の報告

【様式3別紙】看護師等に対する同等報酬について

<就学コース>

【様式1-4】受入れ施設の要件遵守状況の報告

【様式3】雇用契約の要件(同等報酬要件)遵守状況の報告

【様式3別紙】看護師等に対する同等報酬について

随時報告書に関しても知りたい方は以下のページをご覧くださいね!

3. 技能実習

<毎日記入>

技能実習日誌

<年に1回提出>

事業報告書

実施状況報告書

4. 特定技能「介護」

<四半期ごとに提出が義務付けられている書類>

受入れ状況に係わる届出書

活動状況に係わる届出書

別紙:特定技能外国人に対する報酬の支払状況

報酬支払証明書を添付する場合あり

支援実施状況に係る届出書

別紙:1号特定技能外国人支援対象者名簿

定期面談報告書(監督者用)

相談記録書

この他、随時報告の書類もあります。これに関して知りたい方は以下のページをご覧ください!

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00002.html

まとめ

ここまで様々な観点から介護業界で外国人を雇う際の制度を比較してきましたが、皆さんいかがだったでしょうか。

EPAや特定技能に関しては、就労期間に制限がある点が少々ネックかもしれません。しかし国家資格を取得し、在留資格「介護」への変更手続きを行えば、定年までの就労が可能になります。

項目が多く、1度読んだだけでは把握しきることが難しかったかもしれませんが、そんな方は項目1つ1つでチェックをしながら再度読み進めてみてくださいね!


MUSUBEE編集部

特定技能の外国人採用を考える企業にとってお役立ち情報を提供します。

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