特定技能外国人の採用面接で使える質問集
- 特定技能
在留資格「特定技能制度」が始まり、外国人を面接する機会が増えた企業も多いと思います。
ただ、外国人を採用する際は日本人と異なり、期限が切れていない在留資格を持っているか、留学生の場合はアルバイト時間が週28hを超えていないか、などのチェックをしないと在留資格特定技能の申請をするときに不許可になってしまいます。
そこで、今回は、特定技能で外国人を採用するときに注意することや質問するべきことなどをまとめてみました。
目次
1.特定技能外国人の面接で質問をする前に確認するべきこと
外国人採用をこれまでやってこなかった企業は多いと思います。ただし、日本人の労働人口が減少し、外国人の採用を新しくはじめたという企業も今後増えてくるでしょう。
企業が外国人を特定技能で初めて採用するときに、いちばん最初に確認しておくべきことをまとめてみました。
企業担当者が面接時で質問前に確認することは、以下の5点あります。
在留カード
国内に在住している外国人を特定技能で採用する場合、在留資格を確認する必要があります。ビザ申請が不許可になる項目も含まれているので、しっかりと確認しましょう。
以下の図を参考に、在留資格が適切か、有効期限が切れていないかを確認しましょう。
在留資格が適切に存在しているかどうかは、法務局の「法務省入国管理局 在留カード等番号失効情報照会」(https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx)で番号を確認しましょう。
パスポート/外国人登録証明書
密入国をしていないか・正式なプロセスを踏んでいるかを確認します。
日本語能力試験の合格証
特定技能の申請に必要なN4以上の日本語能力試験に合格しているかを確認しましょう。また最近では、偽装した日本語能力試験の成績書類が出回っているとの報道もあります。
そこで、受理した日本語能力試験の合格証が確実に本物かどうかは、試験実施団体で調べることができます。念の為確認しましょう。
国内の受験者の場合は日本語国際教育支援協会にお問い合わせください。海外の受験者の場合は、国際交流基金にお問い合わせください。
■日本
日本国際教育支援協会日本語試験
受付時間 月〜金曜日 9:30〜17:30 (祝日・年末年始を除く)
電話 03-5454-5215 FAX 03-5454-5235
■海外
国際交流基金日本語試験
メール jlptinfo@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角@マークに変更してください。
※日本語か英語で書いてください。
なお、日本語能力試験(JLPT)の他に、JFT-Bsicもビザ申請の資格として有効です。こちらは、合格しているとN4相当の実力と言われております。
また、外国人が技能実習2号を修了している場合は、日本語能力試験が免除されるので、日本語能力試験の合格証は必要ありません。
分野ごとの特定技能1号技能測定試験の合格証
特定技能には日本語能力試験の他に、分野ごとに開催される特定技能測定試験に合格する必要があります。雇用したいと思っている分野の特定技能1号技能測定試験に合格しているかを確認しましょう。なお、技能実習2号を雇用したい分野で修了している場合は試験が免除されます。
住民税課税書(アルバイトをしている場合)
源泉徴収票や住民課税書を確認し、週の労働時間が28hを超えていないかを確認しましょう。
履歴書・職歴書
学歴やアルバイト経験、通っている学校などを確認しましょう。
採用が決まった後、ビザ申請の段階でトラブルにならないように、面接の時点で以上の点は確認しましょう。
2.特定技能外国人との面接で聞きたい質問(質問意図別)
基本的に面接にて確認するべき観点は日本人と同じです。ただし、質問の内容はチューニングが必要になるので、参考質問をまとめました。
質問の意図を正しく汲み取ってもらい、より相手の真意を引き出せるよう、質問をシンプルな文章構造にしたり、難しすぎる熟語表現は避けることが懸命です。
■人柄を見る質問
外国人に現場で接客をしてほしい企業も多いと思います。
- 日本に来た理由を教えてください。
- 日本で働きたい理由を教えてください。
- 自分の国の好きなところを教えてください。
- あなたが好きな、日本の料理を教えてください。
- あなたがこれまでに、頑張ったことを教えてください。
- 仕事でストレスに感じたことを教えてください。
- 休みの日は何をしていますか?
■スキルや学歴を見る質問
特定技能で働きたい外国人の多くは、過去に一般企業での就労経験、もしくはアルバイトでの就労経験があります。特に、日本に留学している外国人は、ほとんどの場合、日本企業での日本語を使ったアルバイト経験があります。
そのため、過去の社会人経験やアルバイト経験などから、相手のスキルについて判断し、自社が求めるスキルや成長のポテンシャルがあるかを確かめましょう。
- アルバイトの経験について教えてください。
- あなたがアルバイトをするときに、自分で考えて取り組んだことを教えてください。
- 自分の国で、会社で働いた経験について教えてください。
- 日本の学校で、どんなことを勉強しましたか?
- 日本語を勉強するために、努力していることはありますか?
■志望動機や条件を確認する質問
ミスマッチが起きると早期辞退に繋がります。きちんと目的や条件などを確認していきましょう。
また、志望企業について調べずに面接を受け来る場合もありますので、面接のタイミングで、事業内容や提供サービスについてどれくらい知っているかを確認しましょう。どこでもいいから働きたいといった曖昧な志望動機で面接に来ている人をスクリーニングできる他、より熱心な人材を見抜くことができます。
また大前提として日本と文化が異なり、希望給与額について交渉するのが一般的な国の方もいらっしゃいます。面接をした方が、給与に関して募集求人の内容と異なる給与額を希望されたとしても、条件を理解していないのではなく、慣習として行っている場合がありますので、理解を示した上で自社では交渉の余地がないことを丁寧に説明すれば問題ありません。
- この会社で働きたい理由を教えてください。
- 就職したら、どんな仕事をしたいですか?
- あなたのアピールポイントや、強みを教えてください。
- 会社を選ぶとき、一番大切な条件は何ですか?
- 希望している給料を教えてください?
- 残業することがありますが、残業があっても大丈夫ですか?
- 休日出勤することがありますが、休日に出勤があっても大丈夫ですか?
- 勤務地はxxです。××でも大丈夫ですか?
■採用が可能か確認する質問
特定技能のビザ申請にあたり、条件を満たしているかを確認しましょう。
口頭での確認だけでなく、該当書類を提出してもらうことも重要です。
また、ベトナムなどの国では日本に比べ家族との繋がりが強く、個人の意思決定に関して家族の意向が強く反映されます。そのため、親御さんが日本で働くことに関してどう思っているかなどの質問もすると良いでしょう。内定を出した後に、家族の了承が得られず採用辞退になるケースもあります。
- ××業(外食業、飲食料品製造業など)の特定技能1号技能測定試験は、合格しましたか?
- JLPT(日本語能力試験)は何ですか?
- (留学生の場合)アルバイトはどれぐらいしていますか?週に何時間していますか?
- (留学生の場合)学校を卒業した後、アルバイトはしていませんか?
- あなたの家族は、あなたが日本で働くことを知っていますか?
3.特定技能外国人を採用する時の注意点
いざ内定を出す段階になりましたら、後々のトラブルを避けるために、確認しておくと良い点について説明していきます。
■外国人が特定技能の資格をきちんと満たしているかを確認する
外国人が特定技能のビザ申請するにあたり、条件を満たしているか、必要な資格を所有しているかを確認しましょう。知らずに採用してしまうと、ビザ申請の段階になり、雇用ができないことが判明する事態にも繋がってしまいます。
また、外国人の中には、意外にも特定技能の仕組みをよく理解しないまま面接を受けている人も少なからずいます。そのため、日本語資格を持っていなかったり、自分が合格した特定技能1号技能測定試験の分野とは異なる分野の企業に応募している場合もあります。必ず確認を行い、採用企業側が選考時にスクリーニングをかける必要があります。
■日本人と同じ採用基準と待遇で雇用しましょう
特定技能では、改正入管法や労働基準法の第3条により、日本人と同じ採用基準と同等額以上の報酬水準で特定技能外国人を雇用することを定めています。当たり前のことですが、日本人と同じ採用基準と待遇で雇用する必要があります。仮に特定技能外国人と日本人が同じ役職についた場合、日本人と給料の差をつけるといった給料格差や福利厚生に差をつけるなどといった差別行為は禁止されています。
■雇用条件をきちんと伝える(場所、給料、福利厚生)
雇用条件の説明に使われる日本語は、その状況でしか使われないような特有の単語も多いため、説明の際には注意が必要です。トラブルを避けるためにも、シンプルでより簡単な日本語表現を選び、説明をするよう心掛けましょう。
例えば、福利厚生にはどんな内容が含まれるか。採用された際の報酬はどれくらいか、といった雇用条件について、相手の理解度を踏まえながら丁寧に伝えましょう。
採用条件のすり合わせを怠ると、のちのちのミスマッチによる早期退社につながります。母国語のスタッフがいる場合は、最終的な雇用条件の確認や調整の場には母国語スタッフもつけるとよいでしょう。
■いつから働けるのかを確認する
採用した外国人がいつから働けるのかを確認しましょう。特に留学生の場合、採用が決まったら学校の卒業を待たずして働き始めようとする留学生もいます。
また一方で、過去には企業での採用が決まったら学校を中退してすぐに働き始めようとしていたものの、採用後に気持ちが変わり学校を続けるために採用辞退したケースもあります。本人が働くことにどれくらい本気なのかを確認する上でも、いつから働くつもりなのか、日本語学校を途中で辞めることに関しては、問題ないのかを確認しましょう。
4.注意点に気をつけながら、外国人採用を成功させましょう
今後日本では更に少子高齢化が進み、外国人採用はより一般的になることが考えられます。
ただし、外国人を採用する際には、日本人採用で確認する必要のなかった点に関しても確認する必要が出てきます。確認せずに採用を進めた場合、条件を満たさず特定技能のビザ申請ができなかったり、入社後にミスマッチが明るみに出て退社になるなど、企業にとっても外国人にとっても不幸な結果となってしまう可能性があります。
外国人採用のプロセスについて不安な場合は、一度海外人材専門の人材会社であったり、外国人のビザ申請を専門としている行政書士に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
また、MUSUBEEでは、キャリアコンサルタントが特定技能ビザでの就労を希望する外国人と事前面談を行い、特定技能でのビザ申請や就労が可能か、希望の就労条件はどのようなものかを確認しています。
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