特定技能外国人の転職は簡単でない/人材流出を防ぐためにできること
- 特定技能
日本では深刻化する労働者不足に対応するため、2019年4月に「特定技能制度」が創設されました。
今回は、特定技能制度の中でも大きな特徴の一つである、外国人の転職について注目していきます。。
「特定技能制度」は転職は可能。しかし、簡単ではない
特定技能制度が創設されるまでは「技能実習制度」を利用して働く外国人も多かったですが、当制度では、転職は許可されていません。そのため、働く会社で人権侵害や違法搾取といった問題があったとしても、我慢せざるを得ないのが現実でした。
これらが背景にあったことから、2019年に創設された特定技能制度では、転職をすることが許可されています。
しかし、実際には転職することを難しくしているポイントがあるのも確かです。その理由をいくつか挙げてみました。
自主退職後による転職活動中はアルバイト禁止
特定技能ではアルバイトが許可されていません。
特定技能は在留資格であり、転職をする場合には変更申請をする必要があります。変更申請が完了するまでは1~2カ月間かかるので、その間無収入になるのは、在留外国人にとって大きな負担になります。
転職活動をする外国人自身の生活の負担だけではなく、母国に仕送りをしている人であれば、家族の生活にも影響がでてしまいます。
そういった理由から、事情があっても転職しにくい現状があるのです。
他社からの外国人引き抜き自粛要請
大都市の企業や一部の大企業が特定技能で働く外国人の引き抜きを行い、ほかの企業が人材を適切に確保できなくなることを懸念した政府は、他社からの引き抜きを自粛するように要請しました。
他社から特定技能の外国人を自社に迎えにくいため、人材の流動性があがっていないという恰好になっています。
転職時の書類が在留資格の更新時に提出できなくなる可能性
特定技能制度で入国した外国人の在留期間は5年間ですが、ビザの更新は1年ごと、6カ月ごと、4カ月ごとのいずれかで行う必要があります。また、転職時には更新期限内に在留資格変更申請を行う必要があります。
ここで問題になるのが、転職する際に在留資格変更を申請中にビザの更新期限が切れてしまった場合、その外国人は帰国しなければならなくなってしまいます。(在留資格変更申請中のビザの期限切れについては、期間満了日から2カ月間であれば日本に滞在していることができるので、その間に対策を考えることも可能)
特定技能の在留資格変更申請が許可されない可能性がある
特定技能の在留資格変更は必ず許可されるというものではありません。
つまり、申請が許可されなかった場合、帰国せざるを得ない状況も考えられるので、その危険性ゆえに、転職が難しくなっているということも考えられるでしょう。
既存の特定技能外国人の転職防止対策
既存の特定技能資格取得者である外国人には、自社で長く働いてもらいたいですよね。
そのために、転職防止の対策をしておくことが大切です。その例を下に列挙しました。
同じ国出身の教育係による指導
異国での勤務に対し、多くの人は不安を抱きます。
そのようなときに頼りにしやすいのが同じ国出身者の存在です。同国出身者がいれば教育係として指導してもらうのも1つの方法です。
仕事を教えてもらったり、相談にのってもらったりと職場に母国語で会話ができる存在がいることで、精神的な安定を得て働くことができます。
日本人従業員向けの異文化勉強会を行う
国が違えば、習慣や考え方の違いがあります。
お互いが理解し合えるように、日本人従業員に対しても異文化について学ぶ勉強会を行うことは重要です。
仕事に対する正当な評価をする
仕事に関して「自分の活躍に見合う評価をしてほしい」という気持ちは世界共通です。
自分の頑張りに対して、会社がしっかりと評価をしてくれればモチベーションアップにつながります。
日本人従業員との情報に格差がないようにする
言葉の通じやすさという点から情報の伝達に格差が生じるケースがあるため、その点には注意しなければなりません。
業務の効率化やコミュニケーション面において、日本人・外国人問わず、情報が確実に伝わることは重要です。必要に応じて外国人労働者の母国語を使ったり、シンプルでわかりやすい日本語で伝えたりと工夫するようにしましょう。
転職は簡単ではないが流出可能性はある。働きやすい環境作りを心がけよう
特定技能制度が創設されて以来、日本で働く資格取得者は右肩上がりの傾向にあります。
転職が可能というのは、特定技能制度の大きな特徴であり、ネットでも検索されることが多くなっていますが、本記事で説明した様々なルールが、転職のハードルを高めているため、実際には特定技能外国人の転職は簡単ではありません。
しかし、既に特定技能外国人を雇用している企業としては、人材流出を防ぐために対策を立てる必要はあります。
異国で頑張る人材にも働きやすい環境を整え、企業にとっても労働者にとっても有意義な関係を構築していくことが大切ですね、
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