特定技能外国人と雇用契約を結んだ後に行う事前ガイダンスの内容とは?
- 特定技能
特定技能外国人を採用する際には、雇用契約締結後に事前ガイダンスを実施し、在留資格の申請をする必要があります。
今回は、在留資格申請の前に行う、事前ガイダンスについて解説していきます。特定技能外国人を採用するためには、必須事項になりますので、ぜひご一読ください。
事前ガイダンスとはなにか?
特定技能外国人を採用した際に、政府が定めた運用規則として日本での生活方法や雇用契約の内容などに関して相手が理解できるように説明する必要があります。
この際の一連の説明を「事前ガイダンス」と言います。対面またはWEB会議ツールなどを用いて説明する必要があり、文章の郵送やメールでのやりとりだけでガイダンスを済ませるのは禁止です。また、特定技能外国人が十分に理解できる言語を使って、ガイダンスを行う必要があり、外国人の日本語レベル次第では、母国語や第二言語などを用いる必要があります。
事前ガイダンスで説明する事項に関しては、法務省が発行している「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」に定められています。
事前ガイダンスはいつやればいいのか
特定技能外国人に対して行う事前ガイダンスは、特定技能雇用契約の締結後から特定技能外国人の在留資格認定証明書の交付申請までの間に行う必要があります。
事前ガイダンスを実施したあとに、特定技能外国人から事前ガイダンスの確認書に署名をしてもらい、在留資格認定証明書の申請時に提出する必要があります。そのため、事前ガイダンスを実施しないと、在留資格特定技能を申請することは出来ません。
事前ガイダンスで話す必要がある内容(義務的支援)
事前ガイダンスで説明する必要があることは、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」にて決められています。説明事項は、義務的支援と任意的支援に分けられていて、義務的支援は以下になります。
1.特定技能外国人に従事させる業務の内容、報酬額その他労働条件に関する事項
採用した特定技能外国人に対して、業務内容、報酬額、その他労働条件など雇用契約で締結する内容について説明する必要があります。
2.在留資格「特定技能」の日本での活動範囲
在留資格「特定技能」で入国する特定技能外国人が、どのような活動をすることを許可されており、逆にどのような活動が禁止されているのかについて説明する必要があります。
3.入国する際に必要な手続きの説明
特定技能外国人が新たに日本に入国する場合、入国に伴い発生する手続きについて事前に説明しておく必要があります。具体的には
- 在留資格認定証明書交付申請を行うこと
- 在留資格認定証明書が交付されたら手元に送付されるので、受領後に管轄の日本大使館・領事館で査証申請を行うこと
- 在留資格認定証明書交付日から3か月以内に日本に入国すること
などです。
また、特定技能外国人が既に日本に在留している場合は在留資格変更許可申請を行い、在留カードを受領する必要があることを伝えます。
4.保証金の徴収や違約金に関する契約をしていないこと。また今後同等の契約を結ばないこと
特定技能外国人が特定技能ビザで働く際に、保証金や違約金、その他徴収される費目のいかんを問わず、金銭その他の財産を受け渡すことは禁止されています。
そのため、保証金等の支払や違約金等に係る契約を現にしていないこと、さらには将来にわたりしないことについて確認する必要があります。
また、これは特定技能で働く本人に限らず、その配偶者や同居の親族なども対象になります。
5.特定技能外国人が、母国の送り出し機関に対する支払っている金額情報の確認
特定技能外国人が特定技能を取得して日本で働くための準備にあたり、本国の送り出し機関に金銭の支払いをしている場合があります。その場合、支払費用の有無、支払った機関の名称、支払年月日、支払った金額及びその内訳について確認をする必要があります。
6.特定技能外国人に対して、登録支援機関の費用を直接的にまたは間接的に支払わせないこと
特定技能外国人を採用した場合、採用後に発生する職務上や生活上の支援を採用企業が行う必要があります。この支援業務のうち、義務的支援を行うために発生する費用を特定技能外国人に負担させることはできません。採用企業が負担する必要があり、特定技能外国人とこれについて確認する必要があります。
7.特定技能外国人が母国から日本に入国した際の住居までの送り迎えの確保
国外にいる特定技能外国人を採用した場合、採用企業は外国人が日本に入国する際に空港や港などから採用企業の事務所がある場所、または外国人が入居する住宅まで送迎をする必要があります。
8.特定技能外国人への住居支援の内容に関して(住宅の広さや負担家賃額など)
採用した特定技能外国人が入居する住宅について、社宅の用意があるか、広さはどれぐらいか、また家賃など特定技能外国人が負担する金額はいくらになる予定かなどを説明する必要があります。
9.特定技能外国人からの職業生活,日常生活又は社会生活に関する相談 又は苦情の申出を受ける体制について
採用企業は、特定技能外国人が相談をしたり苦情を伝えたりするための窓口を用意する必要があります。窓口の体制について、受け付けできる時間帯はいつなのか、相談する方法は面談や電話などどの方法であるか、事前に説明する必要があります。
10.特定技能所属機関等の支援担当者氏名,連絡先
採用した特定技能外国人と連絡を取る担当者について、氏名やメールアドレスなどの連絡先を事前に伝えておく必要があります。
どの項目が漏れてしまっても、在留資格特定技能を申請することはできなくなってしまうので、注意が必要です。
事前ガイダンスで話す必要がある内容(任意的支援)
特定技能を受け入れる際の事前ガイダンスは、必須項目の義務的支援に加えて、次の項目に関しても支援することが求められます。
- 入国時の日本の気候や適切な服装
- 母国から持参するべきもの、持参してはいけないもの
- 入国後に必要になるお金の額とその用途
- 作業着などの採用企業から支給されるものに関して
なお、受け入れ企業は、特定技能外国人に対して、往路の渡航費代や入国後の生活費用などを貸し付けることは問題ありません。しかし、返済方法に関しては、労働法に違反しないことが求められます。
事前ガイダンスの際の注意点
事前ガイダンスは、実施時間として3時間程度とされ、30分や1時間などの短時間では不適切としてみなされる可能性があるので、注意が必要です。
事前ガイダンスは、対面またはWEB会議ツールを使って行うことになっています。
また、在留資格「特定技能」を申請する際に、事前ガイダンスをいつ誰が行う予定なのかを報告する必要があります。事前ガイダンス終了後は、採用する特定技能外国人に「事前ガイダンスの確認書」にサインをしてもらう必要があるので、忘れずにサインしてもらいましょう。
言語の問題や事前ガイダンスを自社で行う体制が社内にいない場合は、外部の専門家に業務委託することも可能です。業務委託する専門機関が登録支援機関です。自社でまかなえるかを考慮しながら検討してみるのをおすすめします。
まとめ
事前ガイダンスの内容は、政府によって決められているので、特定技能の運用要領を確認して、抜けもれがないように行いましょう。
また、事前ガイダンスは、特定技能外国人が入社後も不安なく働いてもらうために必要な説明項目になりますので、採用した外国人が疑問なく入社できるように、利用言語なども相手に合わせて調整しましょう。